どこかの高校の文化祭に来ていた。私は、男の子で、高校を卒業したばかりの20歳前後だった。

この学校は、峠の中にあるのか、学校までが急勾配で、

学校の正門は、急勾配の道に沿っていたので、門が奇妙なカタチになっていた。

華やかな文化祭。いたるところで風船や紙吹雪が舞うような、楽しさを絵に書いたような文化祭だった。

屋台もでていて、電線を張って、照明やかわいい三角のフラッグガーランドが吊るされていた。

僕が卒業した学校なのだろう、知っている感じがした(リアルではそんな文化祭がある高校に通っていない)。

僕は、人がたくさんいる下を歩くのがいやで、白い塗装のされた金属製の非常階段から、文化祭を楽しんでいた。

僕は、どこかの屋台で買った紙コップ入りのドリンク持って、眺めていた。

 

しばらくすると、地響きがして、空が暗くなって、雲の中に、赤色の光が怪しく包まれていた。

その雲は煙のように勢いよく大きくなっていって、今度は空が赤く変わっていった。

煙たさのようなむせ返る匂いがして、今度は、空の向こうから、大きな岩が降ってきた。

空は、青い部分をすべて覆い隠して、楽しんでいた学園祭を一変させた。

僕は、とにかく校門まで逃げたが、周りを見ると、岩にあたって倒れている人や、腰を抜かして倒れている人を見た。

岩から逃げるには、走っているだけじゃだめだと思い、自転車を取りに行った。

自転車に乗って、逃げようとしたが、人混みで走れないので、人混みがなくなった校門から、

一気に自転車で下った。

それでも、大きな岩が落ちてくる。

一体、何が起きたんだろう、この岩はどこから来るんだろう、僕は、自転車をとにかく漕いで漕いで、逃げ切った。

振り返ると、山から街に流れるようにギラギラとした赤黒いマグマが迫ってきていて、ゆっくりと街を飲み込んでいく。

僕は、怖くなって、海まで逃げた。海は、穏やかだった。

街を見るのも怖くなって、海の近くの高台で一晩を過ごした。

 

僕は、街の全体を見たかった。

僕は、昔からハングライダーをやっていた。

ハングライダーで空を飛んでいる時が一番好きな時間だった。

マグマの影響がない海側の丘の上から、ハングライダーで飛んでみた。

すると、かなり上空なのに、熱風を感じたのと、街の中心部は、

もう跡形もなくて、真っ黒な中に、赤色のマグマが川のように流れているのが見えた。

手前は、マグマが乾いて、灰色になっていて、雨が降ったのか、川の水なのか、海の水なのかわからないけど、

入り江のようになっていた。マグマによる陸地みたいになっていた。

それはかなり広範囲で、街よりも外の地平線が見えるところまで黒と赤の陸地だった。

僕は、この世界で一人ぼっちになってしまったような、そんな感覚になった。

ショックだったが、この地球の姿にすら、美しいと思ってしまったのも事実だ。

僕は、海の近くに着地した。

 

僕は、これから、数人と出会って、海側から、マグマで覆われた街の向こうへ旅立つ。

ハングライダーで街の向こうまで行くか、海から行くか、陸地から行くか。

僕は、ハングライダーで、先に街の向こうまで行って、どうなっているか見に行くという計画を立てた。

街の向こうがどうなっているかなんてわからない。

残された、たった数人の仲間が生き残るために、全員が力を合わせなくちゃいけない。

一匹狼だった僕にできるんだろうか・・・不安の中、奇妙な脱出ゲームが始まった。